映画”Memoirs of a Geisha”と他の舞妓を扱った映画

映画”Memoirs of a Geisha”とは

概要

Memoirs of a Geisha(SAYURI/さゆり)は、2005年にアメリカで製作された映画です。アーサー・ゴールデンの小説を原作とし、スティーヴン・スピルバーグが製作、ロブ・マーシャルが監督を務めました。2006年・第78回アカデミー賞では6部門にノミネートされ、撮影賞、衣装デザイン賞、美術賞の3部門を受賞。同年の第63回ゴールデングローブ賞では、最優秀作曲賞を受賞しました。

日本の京都・祇園において、第二次世界大戦前後に活躍した芸者の人生を題材としたストーリー。少女が置屋(おきや)に売られてから、様々な困難を乗り越え、人気芸者に成長する姿を描きます。

あらすじ

1929年、日本の貧しい漁村に生まれた千代。父親によって置屋に売られ、下働きを始めました。待ち受けていた仕打ちは、先輩芸者・初桃による嫌がらせと過酷な労働。我慢の限界に達した千代は、他の置屋に売られた姉と一緒に逃亡を約束するも、失敗に終わりました。このことをきっかけとして、以前にも増し過酷な労働を強いられた千代は、徐々に疲弊していきます。ある日、「会長さん」と呼ばれる紳士と出会い、恋心を抱いた千代。この男性と再会することを夢見て、千代が再び芸者を目指す物語です。

原作の小説について

映画の原作は、アーサー・ゴールデンのベストセラー小説「Memoirs of a Geisha」です。この小説の企画は、アーサー・ゴールデンが、とある男性と出会ったことがきっかけでした。その男性の父親がビジネスマンで、母親が芸妓だったため、男性の母親の人生に関心を持ったアーサー・ゴールデンは、芸妓さんを題材とした小説の執筆を決意しました。

執筆の準備段階で、アーサー・ゴールデンは、祇園の元芸妓・岩崎究香氏を始めとする複数の人物と対談を行います。その場で、日本の文化や芸妓さんの仕事について、じっくりと学びました。インタビューに費やした時間は、9年から10年です。きちんと時間をかけて事実の把握に務めたものの、芸妓さん自身の人生に関し、深い話を聞くことはできませんでした。

そこで、インタビューによって集めた情報にアーサー・ゴールデン本人のアイディアを織りまぜ、フィクション小説「Memoirs of a Geisha」を執筆します。このようにして、30カ国以上の言語に翻訳され、累計400万部以上の売上実績を誇る世界的なヒット小説が誕生しました。

原作者が取材をした芸妓、岩崎究香とは

岩崎究香(いわさき みねこ)は、1949年生まれ・京都出身の元芸妓です。置屋を営む女将に見初められ、4歳で岩崎富美千代の養女となり、6歳で京舞井上流家元に入門。15歳で舞妓デビューを果たし、6年連続ナンバーワンを誇るほどの人気でした。この当時のご贔屓さんには各界の著名人が名を連ね、「100年に1度の名妓」とも呼ばれました。

21歳で襟替し、芸妓に転向して以降も、その人気は衰え知らず。一流企業の広告やCMに起用されるなど、お座敷以外の活動実績も豊富です。29歳で芸妓を引退して以降は、飲食店の経営や執筆、講演活動など、多方面で活躍します。プライベートでは日本画家と結婚し、夫の指導を受けながら、日本画の修復を学びました。

岩崎究香の主な著作は、次のものです。

芸妓峰子の花いくさ(2001)

どのようにして舞妓になって、どのような生活を送っていたのか。売れっ子ゆえに体験した舞妓同士のいがみ合い、お座敷から産まれた恋など、知られざる祇園の世界をありのままに描いた手記。翻訳版は世界25カ国で発売され、京都文化の普及に貢献しました。

祇園の教訓(2003)

初対面から15分で相手の心を掴む方法、一流のお客様に学ぶお金の使い方と生き方のヒントなど、京都・祇園の街でなければ得ることのできないノウハウを教えてくれる一冊です。

舞妓をテーマにした他の映画の紹介

京都の文化や舞妓さん、芸妓さんをテーマにした映画は、数多く存在します。たとえば以下の作品は日本でも知名度が高く、舞妓さん・芸妓さん文化や雰囲気に関心を持つ人におすすめです。

舞妓Haaaan!!!(2007)

宮藤官九郎が脚本、水田伸生が監督を担当したコメディ映画。興業収入20.8億円を誇るヒット作です。阿部サダヲの初主演映画としても知られています。

舞妓Haaaan!!!の概要

修学旅行中に道に迷い、舞妓さんに助けられたことをきっかけとして、お座敷遊びを夢見るようになった鬼塚公彦。京都支社へ転勤が決まり、お茶屋を訪問するものの、「一見さんお断り」に直面します。夢を諦めきれない鬼塚は仕事に奮闘、お茶屋の常連であった社長とともに舞妓遊びを体験するも、プロ野球選手が乱入。鬼塚に捨てられ、舞妓を目指した東京時代の彼女・富士子も巻き込み、架空の街「夢川町」を舞台とした珍騒動に発展します。

はんなり(2006)

数多くの海外映画で芸者を演じた曽原三友紀が監督を務めるドキュメンタリー映画です。海外作品でしばしば生じる「GEISHA」に対する誤解や偏見と向き合うべく、花街の真実を描きます。

はんなり の概要

京都の歴史や文化の象徴である花街と芸妓さんや舞妓さん、その活動を支援する扇子や帯、かつら職人の生活をありのままに描き、日本人すら知らない神秘的な世界を教えてくれます。映画の中では、10代から80代まで幅広い年代の芸妓さんや舞妓さんが出演し、今の生活に到ったきっかけや日々の生活に関して語る場面も登場。お茶屋さんの舞台裏や古き良き伝統文化など、この作品でしか見ることのできない映像が豊富です。

舞妓はレディ(2014)

「Shall we ダンス?」の周防正行がメガホンをとるミュージカル映画。地方出身の少女が京都の花街で舞妓を目指し、数々の困難を乗り越え、成長していくストーリーです。タイトルは、”My Fair Lady”をもじっています。

舞妓はレディ の概要

ある日、京都の花街へやって来た鹿児島生まれ・津軽育ちの少女。「舞妓になりたい」と伝えるも、重度の方言がネックとなり、相手にしてもらえません。その彼女に関心を持った「センセ」と呼ばれる男性は、お茶屋に交渉。舞妓の見習いとして生活を始めるも、京ことばを身につけることだけでも四苦八苦。言葉の訛りを解消し、立派な舞妓さんになるまでの道のりをミュージカル調に描きます。